最近では上腕骨の骨折の整復手術にて、術後の橈骨神経麻痺の相談ケースが更に増えています。レントゲンで術前の写真と整復後の写真を見ると、その先生のアプローチの仕方が皆さん個性的であると共に、金具の固定などで神経圧迫されていたケースや、関節拘縮における術後のケアリング不足など様々な問題をかかえて、私のもとに相談に訪れます。私も難題を強いられる事も多くなっていますが、損傷した神経の様子からどの様な事態が起こっているのかを推測する事に努めています。
患者さんのお話を借りると、先生は神経には傷を付けていないと口をそろえて話していますが、3ヶ月経過しても動かないとの事で私の所に駆け込んで来ます。通常の不全麻痺ですと1ヶ月〜2ヶ月の状態で動きが出てきますが、3ヶ月ともなると事実上は神経の損傷がどこかに存在する事を疑うと共に、神経回復の条件が整っているかを考えなくてはなりません。もっとも、こうした段階より先に、先手を打って早期治療を開始した方が良い事は確かではあります。もっとも、総ての神経の麻痺治療における事実上の私のスタートは、いつも数ヶ月経過してからの依頼が圧倒的に多く、8割が3ヶ月以降も動かないケースからの治療スタートです。神経回復の条件を整える事は逸早く行っておく事は非常に大事であるとお話しいたします。