橈骨神経麻痺
 橈骨神経麻痺を考える2
 橈骨神経麻痺のリハビリ  こんた治療院
 

 

 <橈骨神経麻痺を考える>その2で、骨折による橈骨神経麻痺にふれてみたいと思います。来院された皆さんの勧めで今回の執筆にいたりました事を感謝申し上げます。

 

 骨折による神経損傷

 

 骨折による神経への損傷は、特に上肢や下肢の場合は神経麻痺という状態になります。上肢ならば橈骨神経、尺骨神経、正中神経といった神経の損傷により支配する筋肉の運動が満足にできなくなります。
 昨今は整形外科の技術の進歩とともに、骨折の整復術も変化している事は私もお話をうかがっております。しかしながら、この上肢の神経麻痺の治療においては患者の回復を見守る事のほうが多いことも事実だという事が、今日まで私の治療院に訪れた患者さんの意見に多くありました。
 その神経麻痺においては合併症(関節の拘縮、筋萎縮など)の予防と神経回復を目的に、理学療法が積極的に施されておりますが、私のところへ来る方のほとんどが4ケ月以上何も変化がないという人がほとんどです。 リハビリの目的や治療方法は私も知っています。もちろん早期に回復された方はその様な治療が功をそうしたものと思っております。しかし、長期に渡って回復傾向がみられない神経麻痺には成す術はあるのでしょうか?

 
 鍼治療が神経回復には優れている
 

 もちろん私はそういったケースでも鍼治療を勧めます。私は自分の臨床を通じてこのようなケースで効果が期待できる事を確信しています。はじめにこう説明しておきましょう。
 

 
 
外科手術のアプローチ
 
 

 私のところへ治療に見える前に、まずお電話やメールで確認したい事があります。それは手術痕です。上腕の手術のアプローチ場所が何処なのかを教えていただいております。私の治療の際に使用する経穴(つぼ)の直上に手術痕があると治療しにくいという事があります。多くの場合はその手術は上腕の後面からメスが入っていますので、ほとんどのケースでは治療可能になっていますが念のために確認をとっています。
 

 
 
前腕にかけての状況
 
 

 長期間の麻痺が続いている人の多くが、手首より先のいわゆる手掌全体が腫れています。これは筋運動が不完全な為に静脈血の血行が極端に悪くなり、各小関節の動きが不十分な為に軽度の関節拘縮から引き起こされた合併的な症状の現れです。このような状況では、鍼治療に加えてマッサージを併用して血行改善をうながします。もちろん小関節の他動運動も同時に行い、神経回復と同時に神経が動かすべき組織機関も来るべき神経回復に備えておかなければなりません。いいかえれば実はこのような作業が今まで不十分であると思われるのです。

 
 
骨折による橈骨神経麻痺の鍼治療
 
 

 そのうち回復するだろうという考えはいけません。術後1ヶ月も経過した状態ならば、すでに鍼治療の適応と考えていただいて結構です。抜糸後から治療ができます。専門の知識を持っている、しっかりした治療院で治療を受けていただきたいと思います。
 また、自宅でケアできる事を簡単に紹介してありますので、参考にして下さい。橈骨神経麻痺の注意事項は、<橈骨神経麻痺を考える>に記載してありますのでこちらも参照してくださいませ。

 
自分でできる マッサージケア
 

 1日3回を目やすに10分間ほどマッサージをすることをお勧めします。少しづつの積み重ねが麻痺の改善へとつながって行きます。神経支配の筋肉や関節の環境を少しでも良くしておく為に最低限のマッサージを紹介します。もちろん専門的には多彩な方法を使いますが、いつでもどこでもできる方法として御活用下さい。

 
軽擦法(けいさつ)

 まずは麻痺している手首から肘にかけて柔らかく擦りながら撫で上げます。目的は血管を刺激し循環を促し、むくみや腫れを除去させます。
 軽擦をくり返すと患部に温かい感じがしてきますので、とても気持がよいです。軽擦の強さはこういった感じで、気持のよい程度で切り上げます。

圧迫法

 今度は腕を掴むようにして軽度に圧迫しながら、肘に向かって4点程度ぎゅっとアクションを加えてのぼってゆきます。

手首は個別に慎重に柔らかく軽擦を入れます

 手関節は垂れ下がったまま持ち上げる事ができないために、ここから先の手背や指先に特に血行障害が出現してきます。手関節の後面(手掌側)も同じように軽擦をします。
  手首は非常に捻挫しやすくなっているので、普段の生活にも注意が必要です。

指に関して

 健側の手で柔らかく指の1本1本丁寧に圧迫を加えながら擦ります。指の付け根から指先に向けて、ぎゅっと絞り込むように行います。
 特に麻痺の影響が出ている親指と人さし指を入念に行いましょう。


自分で運動をしてみよう  橈骨神経麻痺の自主訓練法
 

 左の写真は橈骨神経麻痺における運動機能の障害を指しています。麻痺した手首は背屈障害を呈しています。このような状態では重力に反して手首を反らす事ができません。そしてこの状態で無理矢理に背屈させようとしても、代償性運動といって力の入るところにのみ運動がみられます。橈骨神経麻痺の場合は指先が反り返り、手掌が膨らむ感じの手になってしまいます。このような状態ではよいリハビリはできません。まずは重力が加わりにくい状態にして運動を開始します。以下の写真を参考にして下さい。

 

 手首は麻痺が少し回復してくると、上の写真の様に全重力を回避できる位置に手首をもってゆき、そこで背屈運動を練習すると動きがみられます。もちろん初期から始める事が大切です。この時に逆に力を抜いてリラックスして練習します。力を入れすぎる事で代償性の運動が起こり易くなり、本来の力を入れるべきポイントには力が入っていないという事になります。あなたのリハビリの先生は、正常に動くもう一つの手です。あせらずじっくり行いましょう。
 親指のリハビリですが、親指を立てるという動作が出来ませんので、手首の背屈運動とは逆に手を伏せて親指を外転する運動を練習して行く事が望ましいです。

 
訓練に際して
 
 

 麻痺の運動訓練は非常に忍耐力が必要になります。動かないものを動かして行く事はとてつもなく辛いものです。私のコンテンツは教科書のように堅苦しいものではありませんので、実際にみなさんがチャレンジしながらの想定を書いております。
 毎日コツコツと動かす事によって回復が早くなる事は間違いありません。しかし気分か乗らない時には、その時間はお休みしてぼちぼちとすることが大切です。気分転換も大切なリハビリだと前向きになることが大切です。あきらめずリハビリをしてゆきましょう。

 
 
お風呂の中でも実行してみましょう
 
 

 お風呂の中でも上記の訓練をしてもgoodです!お水の中では重力はかかりませんので運動はしやすいです。でものぼせに注意することは言うまでもありませんね。
 けっこうリラックスして運動ができるのが、お風呂の中でもあるんです。1日の疲れをとりながらといったところでしょう。
  さあ!気分をとりなおして今から始めてみましょう!!

 
 
橈骨神経麻痺を考える2を執筆するにあたって
 
 

 私のHPは、みんなで創るホームページがテーマです。今回の橈骨神経麻痺については、もちろん鍼治療を進めながら自宅でも自分でリハビリをするという内容は来院した人への私のアドバイスや、メール相談で1番多かった内容を参考にしました。
 私はいつもみなさんに心動かされるままにコンテンツを執筆いたします。これからもこのような姿勢はきっと必要としていただける人がいると信じ、残る細かい点など次回のコンテンツに生かしたいと思っています。また、みなさまからの質問のメールなどありましたら遠慮なく送ってくださいませ。

 
 
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