私の発病も突然起こりました。病院に勤務していた当時の私は、自分の異変にすぐに気がつきました。私は左の頬あたりに重い痛みを感じました。その後私は、温かい診察室から病棟へ入院患者さんを治療に行く時に、温度差のある廊下へ出た時に左の頬と右の頬の感覚の違いに気づきました。私は「しまった!自分で顔面神経麻痺になる!!」とあせりを隠せませんでした。そこで同僚である神経内科医に相談すると、「こんた先生、いくらなんでも来るのが早すぎる」という内容の事を言われてしまったのを覚えています。それもそのはず、まだ充分に左の顔はその時には動いていたのですから。しかしここで解ったのは、発病開始時点では成す術がないって事でした。ここまでに要した時間は、私が気がついてから1時間の間です。
自分の治療室にもどると、鏡をみつめては目をとじたり、口笛を吹いてみたりして顔のチェックをしました。あせる自分がそこにいたのをはっきりと記憶しています。結果は1時間前よりまぶたが重くなっているようで、丁度、歯科で麻酔をした時の様な感じでした。