皆さんが「しびれ」と表現する口語上のものには、それを強く表現する為に「ビリビリと」や「ひりひり」などと、痺れの程度を表現してきます。実は、こうした皆さんの表現には診察における重要なポイントを示唆している事が多いのです。
「痺れ」という字には、麻痺の「痺」の字が使われています。皆さんが、その多くの「痺れ」と訴える問題は、神経の一過性の軽度の麻痺が原因であるのです。医学的には神経が何らかの原因によって、その正常な働きを実行できずらい状態で、知覚神経を介して局所の異常を表現しています。その多くは血行性に反応し、圧迫や負荷を加えると症状の憎悪がみられます。
至極単純な例を紹介しますと、皆さんが正座をして足が痺れて立てなくなった経験があると思いますが、これが一過性の麻痺の状態です。また、上肢では側臥位で頭に手をあてて寝転んでいた時に、手が痺れてきた経験があると思いますが、これも一過性の麻痺なのです。
そして、一過性で無く、持続的、断続的にも起こる状態を、病的と見なしてその原因を突止める事が重要になってくるのが、この「病的痺れ」です。