今回は前作のお話の続きでケア編です。パソコンによる疲労は、マウスの穴(あな)の出現で相当やっかいな凝りが肩甲骨の周りにできる事などをお話いたしました。それゆえに、その解決策を打ち出さなくてはいけないと思っています。様々な方法が私の頭の中に浮かびますが、ここはひとつ状況を絞って、オフィスでできる解消法を考えたいと思います。

 

 肩甲骨の周りのこりをほぐすストレッチ

@左の写真の様に両手を後ろに組んで、胸を張る様に両肩を後ろに引きます。すると肩甲骨と脊椎の間の筋肉(菱形筋と僧帽筋)が緩み、丁度、肩甲骨と脊椎に圧迫された形になり、気持ちの良い圧迫感が得られます。
 この動作で肩甲骨付近の筋肉や脊椎がこりこりと音をたてるようだと、すでに「マウスの穴」にはネズミがいる(肩甲骨周りに凝りがある)と考えていいと思います。

 
 

A更に今度は右手を耳につけて腕を軽く曲げて、左手は右手の肘を持って身体に引き付けます。
 脊椎を中心線として、その中心線は坐位に対して垂直に維持しておきます。余裕がある人はこの状態から身体を中心線を軸に上半身を軽くひねると、広背筋もストレッチできます。

 普段マウスを使う時は肩甲骨はほぼ固定された状態ですが、上肢は体幹(身体)から外側に離れていますので、このような中途の動作のままの長時間の労作は、筋運動のストレスを生じてきます。この様なストレスを解除する為には上記の2つの相反する運動によって対処します。

 
 
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 肩甲骨は実際の日常生活動作でどの程度動くのか?という質問がありました。肩甲骨は意外と大胆に腕を動かさないと動きません。例えば電車のつり革につかまる程度ですと、肩甲骨はそれほど動きません。両手を水平より上に挙げた時にはじめて肩甲骨のはっきりした可動が感じられます。主婦ですと、洗濯物を干したりする時に両腕を挙げた時に動く感じです。つまりバンザイをした時に充分に動くものだと考えて下さい。


肩甲骨のひみつ?

 肩甲骨という骨は、大正や明治生まれの人たちの中には俗に「貝殻骨(かいがらぼね)」と昔は呼んでいる人がいました。私が治療家としてデビューしたての30年前は、よくお年寄りから貝殻骨のところが凝るんだよねと話される事がありました。今じゃほとんどそう言わなくなりましたが、おもしろい口語だと思います。

 様々な方法がある中で、今回紹介したのは上記の2つのストレッチです。この2つをくり返し数分間行う事で、少なくともマウスの穴から大きなネズミ(大きな凝り)を追い出す事ができると思います。しかしながら、頑固なネズミは世界中にいます。そんな時は、ネズミバスターの私達にお任せあれです。プロは駆除の仕方も違いますよ!。


 
様々なストレッチを組み合わせてみましょう
 

 さらに他のストレッチや上肢の運動を自分なりに組み合わせる事で、自分流のストレッチを完成させてみてはいかがでしょうか。というのも、それぞれの体格や生活様式も違っているのに、同じ運動にて全てを解決できるとはいささか虫がよすぎる話というものですね。私もテレビなどでいろいろなストレッチを拝見しますが、いっこうに記憶に残って実行しているものはありません。きっとこれだ!というものに出会えていないんだと思うからです。今回紹介した2つの動作は、実は私自身の大変にお気に入りのストレッチです。それ故に同じ症状を持っている方にはなるほどと感じていただけるものと思います。

 
メールを紹介します
 

パソコン歴12年
 男性

 私は趣味でパソコンをしています。最近は先生と同じく老眼が気になり出してきています。もともと乱視ですがメガネはかけていません。先生のマウスの穴の話はとてもおもしろいと感じています。私も同じ様な所が凝ってきます。何かいつも貼付いている感じがしていますが、パソコンによるものとは思わず、コンテンツを読むうちになるほどと思いました。バネ指を考えるというコンテンツから入って、先生の治療の窓を思わず読みふけってしまいました。やっぱり私にもねずみ退治が必要ですね。次回作のパソコン…2への意気込みを是非期待しています。

パソコン歴1年
 男性

 私は商業高校へ通う学生です。1年前からパソコンを始めていますが、最近は疲労感が強く、親からは夜遅くまでパソコン使っているからだと言われて、おちおち親の前では疲れたとか言えない状況です。姉が先生にお世話になったとの事で、私もちゃっかり相談にのってもらおうかなと思います。
 実は私はサッカーで右手の小指の腱がのびてしまい、しばらく固定していました。固定後は小指の動きが悪く、マウスを使う時は小指を立てた感じでマウスを挟んでいます。キーボードは小指が使えないので小指は立てた感じです。こんな感じでパソコンをしていると、姉にはオカマ打ちと馬鹿にされています。
 メールをもらってパソコンによる疲労も読んでみましたが、小指を固定していた時期の疲労もかさなって肩から肩甲骨あたりは、こちこちに硬くなっているあたりは同じ場所だと思います。解決法の伝授お願いいたします。

パソコン歴2年半
 女性

 時々HP拝見しております。今回パソコン関係の疲労という事で、非常に興味がありました。内容をしぼって書かれているので読みやすかったです。私はバレーボールで右肩を傷めて手術をしておりますが、パソコンを始めてから特に肩の凝りが気になっていました。肩関節の運動制限がある私の肩には、パソコン作業でも影響が出るのだと気がつき先生に更に相談があり、メールいたしました。中略
 今度出る対策偏を楽しみにしています。ではまた。


 
 

 パソコンによる疲労を考えるをUPしてから、メールをいただき、さらに私が考えさせられた事は、上肢のトラブルを持っていながら作業をなさっている方も多いという事です。その度に私は自分の手をみなさんの手にみたてながら、キーボード操作を試みたりしてみました。条件をつけてパソコン作業を行うとよけいに疲れがたまってきます。メールの内容ではストレッチでは難しいという人もいました。手前味噌ではありますが、そんな人はやはり私達の治療を第一にお勧めします。
 私も時々思う事があります。そんなに疲れるのなら休めば良いじゃないですか。そうなんですけど、私の場合は、パソコンが秘書変わりなものでして可愛い相棒でもあるんです。(笑 。きっとみなさんもお仕事や自分の趣味におおいにパソコンが役に立っている事と思います。これをよい機会に、体調を整える事を知るというのもよい事だと思います。

 
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