どのような病気であっても、その認知度が低ければその様なものは「気のせい」と診断を受けてしまうのが昔からの問題だった。なにせ新種の病気から名前(呼び名)の変わる病名も数多くその数を合わせたら毎年数十個以上の新しい病名が生まれていると言ってもよいだろうと思われる世の中。医者も専門外の新しい病気を診断できる能力は臨床的には難しい。
そうした中で、特に検査所見で異常が見当たらないものにおいては、昔から私たちの仕事である東洋医学、中国医学の出番が非常に多かったというのも事実です。そしてこのパニック症候群という名前のいまいましい症状もその1つであります。
私が臨床的に記憶している40年前のケースでは、こうしたパニック症候群は多く「乗り物酔い」という表現で治療をお願いされるケースが多かったのです。そして、電車や交通機関のトラブル、エレベーター内で車両や室内に閉じ込められると不安感が生じ気分か悪くなるという乗客のみなさんが、このパニック症候群の症状であることは昔はよくわかっていなかったのが現状なのです。
さて、平成も27年になり、この数十年でこうしたパニック症候群はあちらこちらで聞かれるようになり、カミングアウトする有名人も多くなり、昔は「気のせい」といわれた、こうした問題にもようやく名前が明確に世間に浸透し始め、今では認識される様になりました。
症候群(シンドローム)つまり、類似した症状のあつまりとしている診断名にはまだ不明なところがあるという意味も含み、精神医学の分野ではそれに匹敵するその他の症状も含む。
その1つに過換気症候群というものがある。この過換気症候群は緊張状態の極限において発症する事が多く、メンタル的な安定期には起きない。昔から舞台俳優に多く、舞台の最中にも不安がつのり、舞台の袖にもどってマネージャーさんが袋を渡して過換気をしのぐという話はよく聞いたものです。(昔は、袋を使って自分の二酸化炭素を吸い込む事で落着くといわれていましたが、今はそうではない事が知られています。)人は緊張という精神的な問題に関しては、どんな熟練を積んでもこうした不安感と交わる事で経験という名の「お守り」も効力が低下する様です。