顔面神経麻痺
 顔面神経麻痺を考える7 
 小児の顔面神経麻痺 こんた治療院

 今回のお話は、小児の顔面神経麻痺についてです。顔面神経麻痺の問題については広く掲示板からも、メールからも沢山の質問や相談がありました。子どもの顔面神経麻痺について執筆したいと思います。

 小児の顔面神経麻痺の原因について

 小児の顔面神経麻痺の原因については、大人と同じ問題というわけではありません。しかしながらそうして大人になってまた顔面神経麻痺になるという人もいます。つまり顔面神経麻痺の再発という事です。私がこの治療にたずさわってから30年の間に、相当数の臨床ケースが飛び込んできましたが、この再発したケースを最初に確認した時には自分でもショックを受けました。なぜか?私も顔面神経麻痺を過去にしている患者の一人だからです。
 小児のケースで一番若いケースは、生まれたての新生児もいます。このケースは分娩時の問題ではないかという医師の診察見解を確認しています。圧迫による問題で、先天的ではないという問題です。こうした後天的なケースでは、特殊なケースを除き、回復という事が望めると思います。 神経の経路が存在していた事実があるとすれば、神経が回復して帰る道筋があるという事です。
 顔面神経という神経は、12対ある脳神経の1つで顔面部の表情と舌の前2/3の味覚をつかさどる神経です。脳から出て末梢へゆく神経になんらかのトラブルが起きて、顔面神経麻痺になるのですが、そのなんらかのトラブル(原因)が小児に起こっているのです。
 小児の場合は、大人の様に明白なラムゼイハント症候群(水疱瘡<みずぼうそう>のヘルペスウィルス)ないし単純ヘルペス1型は今のところ私の臨床ケースでは、約50名中、35名程度(残り原因不明、レアケース)と少数ですが治療しています。
  身体に免役を作るために子どもは絶えず外界の侵入者と接触してゆきます。こうした過程で過剰反応(副反応)を起こしたケースで顔面神経麻痺になった小児もいます。実際にはこうしたウィルスが起因したケースを想定して治療にあたる覚悟は必要だと考えています。大人のケースでもヘルペスウィルスかどうかの診断も確定できないが、血液検査上はそうした反応が出ているといった事が現在の状況です。これはラムゼイハント症候群の確定診断の1つである、外耳に表れる水疱を確認するといった事が指標になっているので、現代の日本における診断基準はそうした見えない部分でも検査上の反応を確認できる事により今後さらなる早期対処法が確立できるものと思います。
 こうしたウィルスのケースを除き、ベル麻痺という原因が明確でない麻痺があります。このベル麻痺の神経回復は大人のケースでは2〜3ヶ月で回復するといわれていますが、小児の場合はその回復は大人のケースより早期に回復する様に思います。神経の損傷としては比較的軽度なケースです。こうしたベル麻痺のケースでは私は神経の栄養血管のトラブルが原因と考えています。神経に栄養を供給している血管の問題が原因で神経に麻痺が起こると考えるならば、血行が早期に改善されれば神経のダメージは軽度で済むと考えます。

 小児の顔面神経麻痺のケア

 乳幼児の場合

 乳幼児の場合は、栄養状況に注意です。授乳期の新生児は、おっぱいがしっかり飲めているかをママが確認しましょう。体重の増加を見るとともに乳首が上手く吸えているかを見て下さい。不安なママは搾乳をして、おっぱいの飲む量をチエックすると良いと思います。こうした事は1度確認すれば大概わかります。問題がなければ後は安心です。
 こうした事は、顔面神経麻痺により舌や唇の動きが悪いために、授乳が上手くいかないといった問題を逸早く見抜く事に役立ちます。しかし、乳幼児のおっぱいを吸うという動作は基本的に、大人の吸うという動作とは違うので、ほとんどの乳幼児は問題なく授乳できます。
 眼が閉じれないのでやはり、紫外線に注意が必要です。直射日光を避けましょう。
 赤ちゃんは泣く事で身体を成長させます、お母さんやお父さんが赤ちゃんに話しかける事で表情を豊かにしてきます。

 幼稚園児の場合

 目の保護がとても大切です。目が閉じないために涙がたくさん出てきます。そのために目を擦ったりすると眼球が傷つく事もあります。きれいなハンカチで涙を拭くというより涙を吸収させるようにハンカチをあてる事を指導して下さい。泥んこ遊びもこうした衛生面が心配ですから注意をしながら遊ばせてあげましょう。紫外線も目が傷つく原因です。陽射しが強い時や紫外線が強い時には外に出ないで、室内で遊ばせてあげましょう。目が閉じるようになるまで数カ月の辛抱です。良くなったらお外で思いっきり遊ぼうね!
 また、長時間のテレビ観戦も非常に目が疲れて涙が出ます。親が減り張りをつけてテレビのスイッチをつけたり消したりしましょう。子どもが好きな番組はビデオなどに録画して、様子を見ながらみせてあげましょう。
 顔面神経麻痺になると解剖学的な位置に、聴神経が並んで走行する部位があり、耳に聞こえる音が反響します。特にシャッターがしまる音や戸がバタンとしまる音などが反響して聞こえますので、非常に外音をきらってきます。
 子どもも大人と同じケアが必要ですが、それを実行できないのが子どもです。あわてずにゆっくりと子どもと話し合いながら行う事が大切です。
 また、子どもが持ち合わせている言葉が少ないために、自分の具合の悪さを両親に伝えるためにぐずる事しか出来ませんので、病気が治る間は両親がそうした子どもを受止めてあげる事が、1日も早い回復につながると私は考えます。

 小学生の場合

 顔面神経麻痺は味覚も悪くなりますので、小学生くらいになると食欲が無い事が外からでも見て取れます。特に給食の時など今は嫌いなものを残しても問題は無い様ですが、極端に給食を残す事もある様です。そうした時には食べられるだけでも良しとします。味覚は麻痺の回復の前半で回復してきますので、そうした場合でもまた直に味覚が戻って食欲が出てきます。家でも同様に考えて下さい。
 この顔面神経麻痺の時には、『麺類をすする、水を吸う』といった動作が難しくなります。スパゲティーやラーメンなどは非常に食べづらくむしろこぼしてしまうのです。その事を承知でむしろ食べ物をこぼす事を怒るのでは無く、こぼさなくなる事を褒めてあげると本人も回復してきたんだと実感します。
 授業で一番注意をするのが体育の授業です。中でも球技は非常にスピードがあり、完全に閉じない目を使ってスピードのあるボールを見ると涙が出てきます。目の回復をみながら授業に参加が必要です。
 テレビについては上記に同じですが、ここではテレビゲームについてです。非常にこのゲームについては目への負荷もかかりますが、ソフトの内容や動作によってイライラを強める要素がありますのでなかなかの曲者です。本人がたぶんは一度やって懲りてしまうとは思いますが、こうした事を親が知っておく事も大切です。
 小学生になると多くの子どもが自転車に乗れるようになりますが、この自転車も顔面神経麻痺が治るまでは乗らない方が安全です。大人も自動車の運転は非常に涙が出て危険ですが、自転車においても同様です。
 就寝はもちろん充分にとらせましょう。お部屋を暗くする事で目も落ち着きます。


 子どものケアをする御両親へ

 お子様の病気を早く治したいと思うのがどの親でも思う事ですが、この顔面神経麻痺は感冒とは違いその回復が月単位で見て行かなくてはならないものです。子どもの性格もありますが、身体の具合の悪さを親に表現する時は、親に対しては甘えの姿勢を強調します。この顔面神経麻痺では耳の後ろが痛くなったり、反響音が聞こえたり、味覚が無くなったり、涙がたくさんでたりと大人が同じ病気になると心身的にもかなり辛い病気なのです。
 子育て中に様々ないらつきを覚える事は、総ての親ならば経験があると思います。それは無いといえば嘘になるはずです。しかしながらこの顔面神経麻痺という病気は、子どもから明るさを奪ってしまうものですから、叱られる程度により、いつもよりへこんでしまう事を忘れないでほしいと思います。叱った後は必ず倍は褒めてあげて下さい。こんたからのお願いです。
 学校へ行くといじめられないか?と親は考えます。しかしながらその点は子どもの様子で判断しましょう。多くの子供達は自分から学校へ行きたいと自分から勇気を出すそうです。お友達はみんな温かく向かえてくれる様です。親が過敏になっても実際に子どもがクリアしなければならない部分が学校では多いのです。子ども同志では持っている言葉の数が少ないために、時として大人が聞くと尋常ではないかもしれませんが、発言に対しては真意は薄いものです。例えば私は最近頭のてっぺんがちょっと、ほんとにちょっと薄くなってきただけなのに、我家ではハゲあつかいです。それが子どもの世界なのに、私もかつて同じ子どもだったことに気がつきました。大好きな学校へ行かせてあげましょう。泣いて帰ったら親の大きな愛で、また明日学校に行けるように治してあげましょう。


 子どもは自分の病気の重大さを、
  親の顔を見て感じるものです。

 私の仕事は、針灸師・指圧マッサージ師という仕事です。御存知のとうりにインターネットを利用して今や世界のみなさんと話し合う事も私の仕事になりました。しかしながら子どもはインターネットを通じで自分で情報を得て安心したり、相談したりはできません。そうした事は親だけが納得すればいいという事では私はないと思います。こうした事をふまえて親が子どもに安心を与える事が必要なんだと思い、今回の新しい角度での執筆にチャレンジしています。親が子どもを愛情を持って精神的支えをもってケアする事が、一番の顔面神経麻痺の治療なんだということがわかっていただければと思っています。
 子供は自分の病気の重大さを感じるのは、親の顔色を見て感じ取りますので、そうした事が子供のケアになるという事を書いておきましょう。
 昔、自分の子どもの先生宛に書いた文で、「子どもが1年生なら、親も1年生ですから私達も子どもを通じて勉強したいと思っています。」という文章を17年前に書いた事を、今でも変わらず自分の記憶の中にあります。子育ての苦労も解っていますので、皆さんと共にがんばりたいと思っています。

 小児の顔面神経麻痺の回復はなぜ早い?

 私は神経麻痺を安易には考えておりませんが、この顔面部の麻痺の回復にはある特徴があります。その特徴と子どもが持つ回復についてお話しする事で、少しでもみなさんが落着いて向き合えると思います。
 その特徴とは、顔面部は他の部位より血行性に優れているという事です。事実、私達は寒いという最中にも、おもむろに顔を覆って町を歩くなんてことはいたしません。よほど寒いマイナス10度の地域ならばそれも必要ですが…。
  この顔面神経は顔の部分で大きく3つの枝を持つ神経なのですが、神経を栄養する大きな血管の問題がない限り、他の体幹の部位より血行が最低限保持されます。麻痺をした側の顔は確かに血行もダウンはしていますが、顔中に網の目の様に張りめぐらされた血管のおかげにより回復のための条件は腕や足の麻痺に比べて早期に整います。よって顔の筋肉の萎縮も手や足の様に急激には進みません。
 子どもが持つ回復の可能性としては、よい意味でわからないのです。子どもは成長発育という使命を持っています。神経においても同じ事です。身体が成長する事に合わせて各器官も成長するのです。麻痺した末梢神経は再生という回復をたどりますが、神経は自分の帰る道筋やたどりつく場所を自分で知っているのです。
 このことにより小児の末梢性顔面神経麻痺の回復におけるスピードは、大人より早いと考えられる私がとなえる2つの要素です。しかしながら重症なケースもありますので、安易にはしておりませんが。

 小児の顔面神経麻痺治療は臨床数が少ない

 私自身の日本での小児(乳幼児含む小学生6年生まで)の顔面神経麻痺における臨床治療経験は令和5年4月までで85名程度。この数字が個人的に多い方なのか少ない方なのかは、全く解りません。
 しかしながら中国の病院研修ではそうした小児の顔面神経麻痺、分娩麻痺の治療は私達の仕事として多くの患者を向かい入れていました。
 日本における鍼治療は、いまだにセカンドの地位でいるのかと思うこの頃です。私達の治療は、WHO(世界保健機関)が認めた立派な医療なのです。お近くの治療院に相談してみてはいかがでしょうか?

 小児の時期に発病した顔面神経麻痺は
 大人になって再発しやすいのか?

 コンテンツの冒頭で書いたように、この顔面神経麻痺は1度やったら2度と出ないという事はありません。私の臨床例の最多は左右合わせて10回もかかったという人もおります。こんな記事を書くとみなさんは驚くかもしれませんが、私とて今後もそうした可能性もある一人なのです。そうしたなぜ?は私にもはっきりわかりませんが今後は遺伝子の世界ヒトゲノムによって解るものなのかと思っています。

 顔面神経麻痺を一緒にやっつけましょう!

 しかしながら、この顔面神経麻痺をとりあえずやっつけに行くしかないのです!そうした子供達も大人も!それを支える人たちも一丸となって今は麻痺退治をすることが先決です。
 今後も様々な形でコンテンツを執筆したいと思います。また、今回この小児編を書こうと思った切っ掛けを作って下さったのは、メールを通じてたくさんの両親からの子どものケースの相談があったからです。そうしたみなさんに感謝をして、コンテンツをUPしました。BBS(掲示板)もみなさんが御活用いただきますように、全員で顔面神経麻痺をやっつけに行きましょう!

 さらに小児のコンテンツを書きました。

 小児の顔面神経麻痺について、マッサージの仕方、もっと具体的なケア等を書いております。追加コンテンツです是非ご覧下さい。

 

 この顔面神経麻痺について、お悩みや御相談がありましたら 、治療の窓の掲示板、顔面神経麻痺をやっつけに行く掲示板、メールなどから、お気軽にお問い合わせ下さい。院長がお返事いたします。

メール相談
顔面神経麻痺 特設掲示板



 顔面神経麻痺に関係する執筆内容のページです。是非読んでみて下さい。
 こんた治療院 <治療の窓>より抜粋しました。
 毎日、診察の合間にコツコツと執筆しながら早23年が経ちました。皆さんに1つでもお役にたてる事がありましたら、幸いと思いながら、今も尚治療の合間に書き続けている内容です。全国の方から色々な御質問などいただき、毎日心を込めて返信しています。そうしたみなさんの力で、今日まで一生懸命やっていて良かったと思うのは、インターネットのすばらしさの1つだと考えています。

 シリーズ
 顔面神経麻痺を考える

6.1 後遺症各論
<病的共同運動の強調>

7 小児の顔面神経麻痺
:ケア編

8 顔面体操と
顔面の運動は、
やってはいけない

10 顔の痛み 三叉神経痛

21 随意運動と不随意運動

23 やっつけに行く
今回は、
鬼軍曹の
独り言ですか?

 コンテンツ紹介




神奈川県小田原市栢山2910-11
こんた治療院 tel 0465-37-2299







当サイトに掲載のイラスト・記事・写真などの無断転載、無断使用を禁止します。
Copyright (C) 2023 こんた治療院 All Rights Reserved.