顔面神経麻痺
 顔面神経麻痺を考える4
  <原因究明編>     こんた治療院

 
 
   <顔面神経麻痺を考える>を執筆してから早16年(平成29年で)が経ちます。みなさんのメールや来院された方の悲痛な叫びを心から受けとめております。そして私は総力をあげてメールに答え、私の持つ能力をすべて治療に生かす努力を続けて来ました。
 さらに、顔面神経麻痺の鍼治療についてのノウハウを自らの研究過程に加えながら30年以上の年月を経過する事になり、臨床を通じてこの麻痺の根治に向けて今日も治療に専念する毎日です。
 さて、<顔面神経麻痺を考える4>と題して執筆する内容は、皆様の疑問や相談に関してもっとも多かった内容をピックアップして考えてゆきたいと思います。それにより少しでも皆さんの不安要素の解決につながるお手伝いができたらと思います。
 

原因がなぜわからない?
 

 

 みなさんのメールにおいて、『原因不明と言われました。』という文章の中で、どうして原因がわからないのか?という質問がありました。私もこの事については非常に疑問に思っております。
 現代においてこの顔面神経麻痺の原因不明とされている原因を追求できない問題点はどこにあるのか?私としては小さな個人治療院ではとうてい科学的解明は無理だとしても、現代西洋医学者の考えから理解分析したいと思います。

 
 
各科の治療方法から考えてみる
 
 

 まず皆さんが顔面神経麻痺になった時に病院へ行きますが、その時に何科に受診したかによって治療のアプローチが異なってきます。『えーっ!?』とびっくりすると思いますが、このような事は他の疾患でもめずらしくはありません。例えば痛風という病気は代謝性の疾患ですので内科を受診するのが通常と思われますが、左の足の親指の付け根に激痛(尿酸の結晶は鎗の様にとがっていて痛みが激しいのです)があります。そのために、歩行が著しく困難な場合の痛みを止めるには、まず整形外科にてステロイドを注射しながら痛みを止める治療を優先します。その後に尿酸をコントロールするためのお薬を飲むようになります。この様に同じ疾患名がついていても、各科によって同じように治療が可能であるケースはめずらしくはありません。
 ではこの顔面神経麻痺はどの科で担当しているのでしょうか?

 
 
耳鼻科

 平成29年現在においても、耳鼻科受診が大半を占めて来ている様です。神経内科の専門医がいない病院では耳鼻科に案内される事が多い。主に顔面神経の付近に出来た腫瘍などの除去手術などを行いますが、ノーマルな顔面神経麻痺も扱います。
  顔面神経減荷術などの外科的治療を時に行います。原因が聴神経腫瘍や、耳下腺腫、神経鞘腫などにより顔面神経麻痺が起こった場合もあります。

神経内科

 過去にはこの科の受診が多い。(最近では神経内科経由で耳鼻科受診が多くなっています)
  原因不明のベル麻痺では、昨今は単純ヘルペス1型の関与が疑われています。

脳外科

 中枢神経麻痺による顔面神経麻痺は脳外科が専門になります。主に脳に腫瘍があるケースにおいて診察対象になります。脳出血や脳梗塞の後遺症では内科担当です。片麻痺の後遺症による手足の麻痺のケアは時間経過によっても整形外科の担当になります。
 多発性硬化症(MS)により末梢性顔面神経麻痺も反復して起こりますが、中枢神経多発性の病巣症状ですから脳外科になります。

眼科⇔内科

 サルコイドーシスは眼科で葡萄膜炎の治療を受けますが、同時に内科でのケアもします。このサルコイドーシスが原因で末梢性顔面神経麻痺も起こります。

その他

 年令によっては小児科などでも担当します。

 

 
一般的な顔面神経麻痺の治療から原因を考える
 
 

 顔面神経麻痺の初期治療としては代表的なのがステロイドによる治療と抗ウイルス薬があげられます。初期治療は主にこのステロイドによる効果に期待をよせています。また、麻痺した神経の回復にはビタミンB12が投与されます。ステロイドとは、人工的に作られた副腎皮質ホルモンの事です。麻痺後、4、5日経過して耳の中に水疱があらわれると、ラムゼイハント症候群と診断され、ステロイドを中止して抗ウィルス薬が投与されます。
  このステロイドが作用してほしいと考えている問題は、主には神経を養う血管の炎症による神経麻痺と神経を圧迫していると仮定した腫れ物の存在の除去です。つまり、1つは顔面神経を腫れ物が圧迫して麻痺を起こしているのでは?と考えてのステロイドの投与という事です。原因不明の顔面神経麻痺とされている麻痺にはこの様に、原因を血管炎もしくは顔面神経を圧迫している腫れ物の除去と想定してのステロイド治療が発病直後に開始されます。
 では、ビタミンB12の投与はどれくらい神経麻痺に対して有効なのか?と考えると、これは神経回復のためのサポーターといった具合の効果であると私は考えています。ならば実質的に神経そのものを回復をさせる治療は西洋医学には無いに等しいのではないか?そう感じているのは、顔面神経麻痺になった患者なら私の発言に誰でも理解できると思います。 <顔面神経麻痺を考える24食生活>にて、ビタミンB12について書いております。

 
 
◎初期段階では、どんな治療が効果を表すか?
 
 

 皆さんのメールには顔面神経麻痺の治療にはどのような治療がベストなのか?と質問が多く寄せられます。このような時に私は決まってお書きする事があります。治療過程を追ってお話を進めて行きましょう。

 
 
1
顔面神経麻痺の発病
 
2
上記における各科診察と治療

ステロイド治療 
ビタミンB12
抗ウィルス剤(バルトレックス、アシクロビル)

3
さらに数日は要観察
確定診断へ

 ラムゼイハント症候群は顔面神経麻痺が発病して3〜7日程度で耳の中に水胞状の発疹がでます。その確定診断が決まるとすぐにラムゼイハントは水痘ウィルスが原因ですので、抗ウィルス剤(バルトレックス、アシクロビル)を投与され、ステロイド療法は中止されます。
 H29年現在では初期段階でステロイドと抗ウィルス剤の同時投与を行う医師が、かなり増えてきました。抗ウィルス剤もアシクロビルを使う先生が増えている様です。

4
1週間後 
麻痺の進行状況診察

 発症直後から麻痺は段々と進行して行きますので、その様子を観察しながら状況を診察します。

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神経麻痺の治療

 ステロイドや抗ウィルス剤の投与期間が終了すると、ビタミンB12のみで他に薬は投与されません。星状神経節ブロックなど各種療法がためされる時期でもあります。

 
 

 まず私は必ず医師の同意のもとに鍼治療を勧めています。やはり顔面神経麻痺は1つの症状でもある事から、原因の究明が大切になってきます。2〜4での医師の治療はやはり原因究明と原因治療という事で、顔面神経麻痺の初期症状時には大切なプロセスであると思っています。ですから初期の時点でのベストな治療と考えています。
 では5の麻痺した神経そのものの治療は、現在ビタミンB12の投与しかありません。もっと積極的な治療を求めたいところです。もちろんインターネットで検索をしている皆さんが、現在の状況が5の方がもっとも多い様で、もっと積極的に治療できるものはないかと感じていらっしゃる事でしょう。
 そしてこの時期から最も私がお勧めしたいのが鍼治療だと答えております。1〜4までが原因の追究とするならば4〜5は神経の本幹の治療と言えるでしょう。そして、この神経そのものの治療は鍼治療が最も得意としている分野である事は言うまでもありません。この時期からは鍼治療がベストだと思います。

 
 
◎低周波療法は長期間の使用で合併症を引き起こす
 
 

 私と麻痺治療はもう20年近く格闘しています。私は脳血管障害の針治療を専門として、その拠点を総合病院に在籍し治療を続けてまいりました。その為、麻痺患者の検査や評価は一般的に理学療法に使われるものを基準としています。
 私は低周波やパルスによる電気的治療と顔面の体操は薦めてはおりません。それはやはり病的共同運動の強調を警戒しての考えです。まして長期間におよぶ電気治療においての合併症で病的共同運動が強調されている症例を、数多く診てきましたので、私の意見は30年以上変わらず、こうした低周波治療やリハビリと称した顔の運動を勧めません。
 また、神経の過緊張を引き起こした、顔面神経痙攣という合併症もあるという事も書き記しておきましょう。
 根拠となるコンテンツも書いておりますので、そちらも紹介しておきます。

 顔面神経麻痺を考える5 後遺症について総論〉

 
 
鍼灸業界でも早急に対応しなければならない
 
 

 私も講師として教壇に立つ事もあり、また自らの主催する中国医学勉強会でもこのような低周波を使った顔面神経麻痺の治療は問題があるとして強く停止する事を話しています。
 しかし、未だに教育の現場では低周波やパルスを使った治療を指導している講師が多い様です。電気刺激を使わずに鍼治療を行えば回復するという事実をもう一度見直していただきたいものと思います。
 また、業界の指導など徹底してゆくことが必要であると思います。

 
 
顔面神経麻痺を考える5 をつくりました。
 
 

 今回の文章もあまりに長くなってしまいましたので、次回の<顔面神経麻痺を考える5>は、後遺症についての質問にお答えしていくつもりです。本当に私のHPを見て下さった方々のメールを見る度に、私の当初の目的であった皆でつくるホームページに少しづつなってきているなと実感いたします。そして重ね重ね勇気を出してメールをいただいた方々に、敬意を表して毎日の治療活動に専念しております。
 また、ご質問などありましたらメールにて御遠慮なく送って下さいませ、返信は必ずいたします。

 


顔面神経麻痺を考える

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顔面神経麻痺を考える1 総合

 顔面神経麻痺を考えるtop

顔面神経麻痺を考える2 ケア編

 顔面神経麻痺のケアについての特集をしています。お口の体操やマッサージの仕方を載せてありますので、御覧になって下さい。

顔面神経麻痺を考える3 心理編

 顔面神経麻痺を考えるをUPしてから、皆さんからの相談メールが連日の様に届きます。その中には、実は自分の子供、親や兄弟、友達や恋人を心配してどの様にケアしてゆくのか?どう接していったらよいのか?という本人以外の人の問い合わせも多いのです。
 そこで、私が顔面神経麻痺になった時の経験を生かして、お互いにどう接したらよいのかを考えてみました。

顔面神経麻痺を考える4 原因究明編

 皆様の疑問や相談に関してもっとも多かった内容をピックアップして考えています。それにより少しでも皆さんの不安要素の解決につながるお手伝いができたらと思います。

顔面神経麻痺を考える5 後遺症編1

 顔面神経麻痺の後遺症についてのお話です。顔面神経麻痺の患者側にとっての最大のポイントは、後遺症といっても過言ではありません。医療側にとってはその原因追究が主たるもので、症状が落ち着くと神経麻痺の回復がどれだけか評価表をつけるだけの作業の様子。『調子はどうですか?』と聞かれ、答えると『これには時間がかかりますからね〜っ』という返事。
  本当にこんな事で神経は回復するのか?自然に回復するのか?…。

顔面神経麻痺を考える6
 後遺症編 2 
病的共同運動を回避する

 顔面神経麻痺の回復期に起こる共同運動についてのお話、後遺症についての第2弾です。顔面神経麻痺を考えるを執筆する様になって、平成13年の11月にUPした顔面神経麻痺についても今回で6枚目のUPになります。
 病的共同運動については当時からたくさんの質問メールが届いていました。来院される患者さんにも質問を受けてお話をする事も当然多くありました。そんな病的共同運動についての問題は非常に複雑な内容です。

顔面神経麻痺を考える6.1 
後遺症編 3 
病的共同運動を考える

 なぜ?低周波や顔面の運動(自動運動)を推奨しないのかを書きました。実質的に後遺症についてのお話で第3弾です。小児の顔面神経麻痺と合わせてみていただくと理解しやすいと思います。
(H18.3.10up)

顔面神経麻痺を考える7 
小児の顔面神経麻痺 ケア編

 小児の顔面神経麻痺についてケアを中心に書きました。子どもの辛さを具体的に生活を通じての御両親へのアドバイス事項です。大人が子どもの辛さを理解する事で、顔面神経麻痺をやっつけるための内容です。(H18.3.5up)

顔面神経麻痺を考える8 
顔面体操や顔の運動について

 顔面の体操や運動はいけないというお話です。顔面神経麻痺を考える6の問題で病的共同運動を強調させる事なく、回復の経過をみつめる事が重要であると考えています。(H19.3.22)

顔面神経麻痺を考える9 
顔の表情

 顔面神経麻痺になったら、ポーカーフェイスで過ごせという指導に疑問あり。心の問題も抱えるこの病気に、更に追い打ちをかける事は許されない!(H19.5.26)

顔面神経麻痺を考える10
顔の痛み 三叉神経痛

 顔面神経麻痺に出てくる顔の痛みについてのお話です。発症時から出てくる痛みと神経回復と同時に出てくる痛みのお話です。発症時から出る顔の痛みは大勢の人が訴えますが、その痛みはすぐに加療とともに落着いてきます。しかし、三叉神経痛として痛みの出るケースもあるのです。(H19.9.24) 

  顔面神経麻痺を考える<番外編>です。
 (H19.10.27)

顔面神経麻痺を考える12
トリックモーションと共同運動
アブミ骨筋性閉塞性耳鳴り

 アブミ骨筋性の耳鳴り(閉塞感をともなう)について書いています。(H19.12.14)

顔面神経麻痺を考える13
妊娠 出産

 顔面神経麻痺になった、妊婦さんや産後のお母さんのためのコンテンツです。(H20.1.14)

顔面神経麻痺を考える14
小児の生活指南、マッサージ

 小児の顔面神経麻痺2。生活指南と小児の顔のマッサージを書いています。

顔面神経麻痺を考える15 
ホウレイ線 について

 病的共同運動の強調と顔の運動による各筋肉の強調などを考えてゆく上で、こうした状況を少しずつお話ししてゆきたいと思い書いてみました。(H21.4.1)

顔面神経麻痺を考える16
原因究明編2

 ベル麻痺(原因不明)と診断を受けていても、経過の観察次第では違ってきたということもあります。こうしたケースなどは受診した科によって初期診断、検査方法が違う為に起こってきます。私たちは2度とこの麻痺を起こさない様にする為に、自分の麻痺の原因を追求せねば予防には繋がりません。(H22.6.6)

顔面神経麻痺を考える17
末梢性顔面神経麻痺の神経再教育

 末梢性顔面神経麻痺の神経回復時における、病的共同運動の強調をおさえること、これすなわち神経再教育の仕方をどうするかという事を考えなくては治療に結びつく事をができないというお話です。(H22.12.20)

顔面神経麻痺を考える18
回復の兆候

  私の臨床における主観的内容です。麻痺した神経が動き出す前に回復しているとなぜ解るのか。(H23.9.1)

顔面神経麻痺を考える19
回復の条件

 末梢性の顔面神経麻痺を回復させるために必要な条件を考えます。(H23.12.2)

顔面神経麻痺を考える20
不全麻痺と完全麻痺

 末梢性顔面神経麻痺の不全麻痺と完全麻痺について書いています。(H24.6.16)

顔面神経麻痺を考える21
随意運動と不随意運動

 顔を動かすという筋肉 表情筋。その表情筋は随意運動と不随運動の2つからなる運動を表現している。 (H25.11.21)

顔面神経麻痺を考える22
水痘ウィルス

 水痘ウィルスに関して、私流の解説をしています。(H26.6.18)

 こんた治療院の治療室で、皆さんとお話している事など書いてみました。(H26.10.22)

顔面神経麻痺を考える24
食生活

 食生活について書いてみました。(H27.2.16)

 

 私自身も、この目に見えない得体の知れないストレスにもちろん困惑した事もありますし、他人から見れば何だそんな事と思われる内容であったと思います。いま冷静にその時の状況から分析すると、自分から見ても小さい事であったと認識しています。
 ではなぜそのような事をストレスとして受けとめてしまったのか…、をまずは初めに考えて行きましょう。

 顔面神経麻痺について専用BBSをもうけました。いろいろな事をみんなで話し合えるところを作ってみました。顔面神経麻痺を考えるを読んだ後にでも立ち寄って下さいませ。
  たくさんの人の書込みありがとうございます。みなさんが心から勇気が持てる掲示板になりました。本当に感謝いたします。

ご相談などありましたら、<治療の窓>にメールボックスが設置してあります。




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