顔の筋肉を動かす、即ち表情をつくる と皆さんは考えますが、本来は無意識的に行っている動作こそが表情という言葉がふさわしく、意識的に行っている動作は目的を持って動いているものであるという認識でこの文章を読んでいただきたいと思います。
もう少し解り易く言うと、泣いたり、笑ったり、起こったりすると顔の筋肉は変化を見せます。気持ちの表れが顔に出たものは、本来人間が無意識の動作として顔の筋肉を使う運動、即ち不随意運動(ふずい)と言います。顔の場合は、目を反射的に閉じる瞬き(まばたき)もこの不随意運動です。
そして、意識的に行っている動作は随意運動と言いますが、ものを食べたり、言葉をしゃべったり、写真を撮る時に故意に笑ったりとすることは皆、随意運動になるのです。
つまり、顔における運動とは、この不随意運動と随意運動の両方を受けており、顔面神経麻痺の場合にはこの2つの運動を失う事になります。そして、みなさんがリハビリと称して顔を動かそうとして行う運動は随意運動であり、2つの運動のうちの一方の運動だけを積極的に行う事になっているという事です。
日常生活の顔の筋肉の動きは、この不随意運動と随意運動の混合とも言うべき状況で、その運動の入れ替わり変化速度は敏速に行われています。これは、顔面神経が脳神経の直属であることに由来していると考えます。言葉をしゃべっている中でも瞬きをしたりもできますし、涙を流しながらもお話もできます。こうした顔の動きは、非常に精密な神経の伝達の交換によってなされています。手や足の伝達は脊髄を介して行いますが、顔面神経はその直属が脳であるためにその伝達交換の速さは優れた正確性を持っていると考える事ができます。お話の後半ではこうした生理的に伝達されていたものが病的になるとどうなるかという事も、少しお話したいと思っています。
さて、ここではリハビリと称して顔を動かそうとして行う運動(随意運動)は、2つの内の1つだけの運動を積極的に行っていると書きましたが、さらにポーカーフェイスでいることが病的共同運動を起こさない事に役立つとされた理論はもう1つの不随意運動をもさせない事につながります。
顔の筋肉を動かすのは、随意運動と不随意運動から構成されているという事は大事なポイントです。
こうした中で、私の理論は27年以上変わらず、顔は自然のまま、特に運動はいらない、鍼治療とマッサージの併用で充分にケアできるとしています。