腰痛
 腰痛を考える  こんた治療院

 『あっ!痛たッ!ぎっくり腰になっちゃった!』なんて事はよく聞かれる話ですね。こんた治療院では、この腰痛という1つの問題をいろいろな角度から考えていこうと思っております。まず基礎として腰痛に関して基本的な話から始めてみたいと思います。
  腰痛とは、腰部の痛みです。腰部の構成は腰椎を柱にそれを取り巻く筋組織、そして前面には内臓器をかかえています。その腰部全体の痛みを指して腰痛と言います。
【急性腰痛と慢性腰痛】
  腰痛には急性腰痛と慢性腰痛がありますが、普通急性腰痛は原因がはっきりしている事が多いです。つまり何かの動作によって腰をひねってしまった、などと自分で心当たりがあります。慢性腰痛はその腰痛の原因がはっきりしないなど、腰部の不快感がつねに定着しているケースです。慢性腰痛といっても、何か重篤な疾患が潜んでいての一症状である事も忘れてはいけません。もちろん複雑な問題は専門医の診断のもとに、私たちの治療を加えていただく事をお勧めします。
  さて腰痛でお悩みの方は、慢性だから治らないとあきらめないで、まず自分の腰痛はどの部類かを“原因について”を参考にして考えてみてください。

 一般的に腰痛で損傷する筋肉や骨、組織について考えてみましょう。

  骨と腰椎椎間板

 腰椎骨は合計5個あり、その直下には仙骨がついています また腰椎の直上には12椎からなる胸椎があります。腰椎の問題で頻繁に種々の問題をかかえるのは、腰椎の上から数えて4番目と5番目、5番目と仙骨の間です。皆さん御存じのとうりこの腰椎と腰椎の間には椎間板というクッションが腰椎の運動を滑らかにするために存在しています。その椎間板が突出(ヘルニア)することを椎間板ヘルニアと言います。そしてこの椎間板ヘルニアの好発部位も同じです。この様に上記にあげた腰痛の好発部位は、運動による腰痛の場合は、同時に日常動作時にその周囲が支点となって運動を行うからだと思われます。


  筋と筋膜、その他

 専門的に、筋・筋膜その他軟部組織で損傷を起こしやすい部位を、ごく簡単に説明すると、腰椎のすぐ脇を縦にはしる脊柱起立筋、肋骨に沿って腸骨稜(パンツのゴムがひっかかるところ)に着く外腹斜筋、内腹斜筋、腸骨稜付近の上殿神経部、広背筋の腰部付着部などがあります。


腰痛の原因について

 まず、上記にあげた腰椎を構成する組織は、いずれも老化によってだけでなく、若年層でも問題は起こります。最近では少年サッカーなどが盛んで、少年に頻繁にみられる 腰痛症の中に、腰椎椎間板ヘルニアが多くなってきています。
  また、老化と記載していますが30代にもなると実に初老の徴候が原因で腰痛が見られる人もいます。

  若年層に起こった腰痛
少年の腰椎椎間板ヘルニアの例

 これは腰部を支える筋肉の発達に関係しています。サッカーなど走るスポーツでは主に下肢の筋肉が発達してきます。その筋肉の発達の度合いで話をすすめると、腰部を構成するための組織はまだまだ未発達で柔らかいのです。少年サッカーですとフィジカルトレーニング(筋肉強化訓練)専門のコーチなどがいない為、ほとんどが実践型練習になってきますので、なかなか子供ひとり一人の状態に関心が届きません。話をもとにもどすと少年サッカーでの腰痛は、『硬い台の上にのったプリン』という感じで、鍛えられた硬い下肢の上に柔らかい未発達の腰部がプリンのように乗っていると言った状態なのです。このような状態で運動をすると腰痛が発生しやすいということです。この事は大人が子供に注意してあげなければならないことですが…。
  当然こういったケースでも治療が必要になってきます。安静だけでは回復に時間が必要です。


 早期に生じた退行性の腰痛
退行性変化いわゆる老化傾向の例

 老化の場合というと、老化の定義として成長が止まり退行性病変が生じているとして、早い人では30代の方で変形性病変が認められ、慢性腰痛症として治療を受けています。腰部を構成する組織に実年齢より早く老化が起こっている事は近年ケースとしては多いのです。 ただ年令が若いとそのまま放置するケースがほとんどなため、40代になって急激に出現したかのように思われやすいものです。
  また軽いぎっくり腰と思っていても、ふだんから腰部の筋緊張が強いために、いつぎっくり腰が起きてもおかしくない状態であって、そのまま放置しておくと、今度はもっとひどい腰痛になる事は言うまでもありません。慢性腰痛に移行しやすくなるケースです。
 こういったひたひたと忍び寄る老化傾向の見られる腰痛は、生活の改善と運動が治療とともに有効的に効果を発揮してきます。

 他にどのような状態(原因)の時に腰は痛むのでしょう?

1.筋・筋膜の炎症や捻挫

俗に言うぎっくり腰、打撲など。

2.脊椎性疾患

変形性腰痛症、腰椎椎間板ヘルニア、脊椎分離症、腰椎すべり症など。

3.反射性疼痛

 内臓器疾患の反射で腎結石、十二指腸潰瘍、各種腫瘍など。

4.その他

慢性腰痛症では冷えや天候の変化、妊娠中の腰痛は脊椎のアンバランス、 膝や股関節疾患による腰椎への負担、 生理痛から来る腰痛など。


 このような原因で痛みが出現いたしますが、上記に記載したものは代表的なもので、全てではありません。このなかでも、われわれの治療が効果的に働くものがあります。治療の目的は痛みをとる事が目的にみえますが原因によってその最大の目的はもっとほかの事になってくることが理解していただけると思います。つまり腰痛治療は痛みをとることが治療の最終目標ではなく、その原因についてどれだけ治療効果が行き届いたかが大切です。みなさんの大切なお身体です。たかが腰痛、されど腰痛。治療家としては痛みの奥にひそんでいる原因を、冷静にみることが必要になってきます。

  腰痛の特別な診察事例を紹介します。
 手術の必要性もありで、大きな病院の診察を勧めた症例

 60代後半の女性。腰痛にて、近医の町医者で2年間ほど通院しているが、一向に腰痛が改善されないとの事で来院。話を聞くと、週に2回リハビリで低周波療法と温熱療法をしているとの事。病院も混雑しているせいか医師の診察もそこそこで、たまにレントゲンを撮って骨には異常はないとの事。この様な状態で2年間ほど通院していたとの事。
 診察時に、疼痛性の跛行(歩行の状態)を確認。まず、上向きにしてSLR検査右下肢30度で反応。左は45度でやや反応。同時に坐骨神経痛の検査、右+、左ノーマル。続いて、うつぶせにて腰椎の状態を確認しようとした時に、右臀部の筋萎縮を服の上から確認できたので、右横向きにして臀部の筋萎縮の確認をすると共に、右下肢への神経因性の筋痙攣を確認。さらに坐骨神経を軽度圧迫で筋痙攣が強調する事を確認する。この事から、即時に腰椎椎間孔ないし脊柱管狭窄の疑いを持ち、神経根症状の説明を患者に行った。腰痛の訴えで来院したのだが、下肢の坐骨神経の痛みは1年以上も前からあったとの事。坐骨神経の変性の可能性もあるので、大きな病院でのMRIなどの検査を是非受けて欲しいと説明する。
 このケースは後日談があり、別の大きな病院で診療を受け、脊柱管狭窄症で手術をする事になったとお電話をいただきました。こうしたケースも、日常珍しくなくあるので、鍼治療でできるものと、そうでないものを見極める技術も必要だというお話として書いておきましょう。

 

 60代の男性。同じく腰痛にて、近医の町医者で1年間ほど通院しているが、一向に腰痛が改善されないとの事で来院。上記の女性と同じケースであり、整形外科での療法も全く同じ様な治療であった。各種検査を施して、左下肢への神経の陽性反応も確認できた後にうつぶせにして、痛む箇所を触診した時に左側の腰に何か普段では触れないものがある事に即座に気がつきました。左腰椎の4番外方に、500円玉より大きい感じで立体感がある腫れたものです。軽く圧迫すると左下肢に響くとの事で、直ちに患者に説明し、近くの大学病院への受診を勧めました。もちろん、私が触診して触れたものが何かは全く解りませんので、その事もよく説明しました。2週間ほどして、奥様からお電話をいただき、あの後すぐに大学病院に受診しそのまま入院されたそうで、手術をしたとの事でした。私が触診して触ったのは何だったのか?実は突出した椎間板の一部だった様です。奥様の話によると、大学病院の先生もこんなに大きく突出した椎間板の手術は初めてだという事でした。悪性の腫瘍でなくて良かったとの思いもありましたが、何が自分の手に触れているか解らない?そんな思いで今も忘れずにいるエピソードです。

 お電話の緊急相談で、直ちに病院へ行く事を勧めた症例

 80代の女性。お嫁さんが私の治療院の常連で、介護中の義母の腰痛の相談でお電話をいただきました。30分ほど前にベッドから下に落ちて尻餅をついたら、腰が痛くなったとの事でお電話をいただきました。電話の内容で、本人を動かす事ができずにいるので、旦那さんを会社から呼び戻して治療院へ連れてくるとの事でしたが、私はその前にお義母さんの容態から、腰椎の圧迫骨折を疑り、無理に動かすのではなく、救急車での搬送で病院へ行く事を勧めました。腰椎の骨折なら、無理に動かして自家用車で行く事はリスクが大きいからです。結果的にやはり腰椎の圧迫骨折を起こしていて、入院したケースでした。
 後日、娘さんから、なぜ?圧迫骨折している可能性があると解ったのかと聞かれましたが、高齢者の場合特に自立歩行もままならない方は、腰椎のみならず骨の強度も弱く骨粗鬆もあるために、ベッド程度の高さでも自分の体重が加わると腰椎の圧迫骨折を起こしてしまうものだとお話ししました。
 これは私も病院勤務時代に口酸っぱく指導されたものなのですが、高齢者の車椅子のトランスファー(乗せ変え)に、毎回注意をはらって行っていました。それはこうしたケガをする可能性もあるからなのです。自宅での介護の時代ですので、こうしたお話も参考になるのではと思って、書いてみました。

腰痛について質問があった事を紹介します。

 1回の治療で腰が治ったという話をされますがどんなケースですか?

 実は筋緊張性に属する腰痛で、軽度の腰部捻挫(ぎっくり腰)や冷えにより痛みが増す慢性腰痛症などのタイプが、この手の話の対象で数回の治療の後、痛みがとれてゆきます。しかしそれ以外のものはやっかいなことにそう簡単にはいきません。ひどいぎっくり腰では筋膜炎といって、炎症を起こしてしまい患部に熱感があり腫れ上がってしまいますので、早急に冷シップで冷やして熱をとってあげなければいけません。もちろんお風呂に入って楽になる事などこのケースではありません。急性で炎症所見があるときはお風呂はどんなときでも禁忌です。腰痛はお風呂に入って良くなると思い込んでいる方が多いと思いますが、それは基本的に炎症がとれた時期、もしくは慢性腰痛で血行改善によって腰痛が緩和できるケースだけです。まず御家庭では急性腰痛が発生したら、冷シップで冷やす事をおすすめします。炎症所見は腰痛が発生した後に10分後、20分後と段々ひどくなるので、炎症を防ぐ事にまず念頭を置くことが必要です。そして安静状態にして身体への負担をなくしてあげましょう。その時に熱感が出現していない、または熱感がとれてきましたら我々の治療の出番です。この事については、コンテンツ<緊急腰痛マニュアル>参照してください。

 すぐに良くならないケースは?

 腰椎椎間板ヘルニアによる腰の痛みが該当します。腰椎椎間板ヘルニアでは脊髄を椎間板が変性突出して圧迫し炎症を起こします。また同時に下肢に行く神経も圧迫を受け、■坐骨神経痛などが出現し疼痛性の跛行(はこう)といって足を引きずる歩行をするようになります。ひどいケースでは膀胱・直腸障害等もうけ、排便排尿が困難になります。 もちろん診断診察は、必ず整形外科で受けて治療方針を医師と相談しなければなりません。また理学療法士(PT)が作るリハビリテーションプログラムに沿ったリハビリも重要です。その上で我々の治療が非常に役にたつ事がいくつかあります。例えば着用をするコルセットは腰椎に負荷が加わる事を防ぎますが、同時に腰部の筋肉に運動制限を加えるため長期間の着用で健全な筋組織にも影響が出て正常な筋緊張が保てなくなります。病程が長いと殿部・下肢の筋萎縮も進み、神経圧迫を受けている領域側のおしりや足が細くなり殿部・下肢への痺れや痛みが強くなります。このような場合こんた治療院では、痛みの除去のみならず、腰椎椎間板ヘルニアが引き起こす合併症も治療対象として患者さんとプログラムを相談しています。しかし治療が後手にまわっているわけではなく、直接患部内の環境を良くして改善する機会を与えます。
  お気付きのようにこの様な場合は長期的な治療時間が必要になってきますが、我々の治療方法も必要不可欠になってきます。

 特に慢性腰痛の治療は目的を持って通院しましょう。

 腰痛についての問題をさらに深く考えて行きます。コンテンツとして、腰痛を考える2、腰痛 緊急マニュアル、坐骨神経痛を考える、坐骨神経痛を考える2を現在UPして腰痛関連をまとめてみました。御覧になって下さい。


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