物事には2つが存在すると説明します。まだ宇宙の事が解っていない時代から、太陽を陽としたならば月は陰と説明します。表と裏という表現がありますが、陰と陽という表現もあてはまります。磁石もプラスとマイナスがありますが、これもプラスを陽、マイナスを陰と表現できます。また同じ液体でも、冷たい水を陰として、お湯を陽として考えます。動物ではオスを陽としメスを陰と表現します。これは物事を大きく2つに分けるための相対的な方法です。
しかし陰陽理論が特徴的なのは3つあり、1つはそれぞれ分割したものを絶対的な陽、絶対的な陰とは言わないのです。つまり陽と分けたものの中にまだ陰と称するものが存在しているという事なのです。
2つめの特徴は陰と陽は互いに切っても切り離せないもので、絶えず運動を行いながら増加したり減少したりしているというものです。この考え方は化学的にも理屈があてはまります。生きているものならば理解しやすいですが、生物ではないものは運動している事がわかりにくいものです。しかし古代の人はそういった事まで、認識していたと考えられるのがこのような理論の一端からもわかると思います。鉄やガラスなどは生きていませんが、分子レベルでは常に微弱ではありますが運動をしています。ですから熱を加えることにより加工ができるのです。
また身近において、陰陽を使って運動を説明する場合、水を例にすると非常に面白いです。水は陰の代表的存在です。空気は陽の代表的存在です。水の中には酸素を始め窒素等の気体が存在しますが、魚等はエラでその気体を体内に取り込みます。これを、『陰の中に陽』と解釈いたします。そして水がさらに運動をしはじめると、水蒸気となり空気と混じろうとします。水炊きのお鍋のお湯が無くなるかのごとく、お水は少なくなるのです。そして水は空気中に舞い上がります。しかし空気中にも目に見えない水が存在します。これを『陽中の陰』と解釈します。やがて水は水蒸気から雲になり雨となってまた地上にもどってきます。これが陰陽の運動なのです。
3つめとして、この陰と陽は相互に運動をくり返すうちに1つのものを創りあげるという事です。つまり生まれるという事です。人間の死を陰陽論では、陰陽分離、陰陽離脱と表現します。逆に生を受ける事(妊娠する事)を太極となすといいます。私たちが知っている、あの太極拳の太極と同じ意味です。またあの太極マークを見たことがあると思いますが、まさにあのマークは陰陽論の図解なのです。白は陽、黒は陰を意味し、白のフィールドに黒い円があり、黒いフィールドにも白い円があります。そして大きく1つの円をなして太極を意味しています。
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